里の守り神?
五月に入ってすぐのある日の夕刻、同じころに入居した古くからの知人Hさんから
声をかけられた。
「あそこに、お不動さんが見えない? 朝7時前後の姿がきれいなのよ」
見ると指さされた方向の一点に、初夏の新緑に彩られた木立の中で、
周りと少し色の違う一本が際立っている。
ぱっと見は、立ち木というより一叢のこんもりした茂みといったイメージであるが、
眼を凝らすとなるほど仏様の姿をしている。
後に聞いたところでは、最初に発見したのは、毎朝集会室のバルコニーで
催されるラジオ体操に参加している人とか、これを仏像に見立てたのは
おそらく信仰心の厚い方に違いない。
(集会室前の橋の欄干から見たら額縁みたいでおもしろかったので...。)
そこで翌朝、カメラを肩に里の中のベストスポットを探して回る。
大食堂前、集会室バルコニー、あずまや前など歩いてみたが、
そのいずれからもよく見えた。
カメラを構えていると、通りがかりの何人かが「何撮ってるの?」と聞く。
「向かい側の丘にいる仏様です」
「どこどこ? あ!確かにお不動さんだね」
「すごい凄い!」
中には合掌する人がいるかと思うと、「ただの木にしか見えないわ」と言う人もいる。
ある対象から何をイメージするかは、人によって異なるのが自然のことだと思う。
皆さんの目にはどう映るのでしょうか。
自分の中では、昔の大映映画で観た「大魔神」を連想した。
なので、まとめて『里の守り神』としておくことに決めた。
教えていただいた方に感謝の気持ちを込めて...。
( 入居者:M・N )
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