ブザーが鳴った。誰か来たらしい。出て見ると、青鬼・赤鬼が怒りの形相ものすごく、と言いたいところだが、やさしい姿で立っていた。豆を持った人もいる。
「Kさん、悪魔を払いに来ました。」青鬼が言う。
「いやぁ、それはご苦労さま。どうぞどうぞ」
思い出した。今年のコヨミでは、私の運勢は「大吉運」だった。「大吉運」の先頭は青鬼・赤鬼の訪問と言うわけだ。これは歓迎しないなんて出来ない。笑顔で迎えた。
青鬼は両足をふんばって、「エイ、エイ」と鉄棒を振った。
「これで悪魔は逃げました」と言う。
そうか、そうか、悪魔が逃げたら、今年は宝くじを買っても、特賞?いや1等でもかまわない、いやいや2等でも3等でもかまわない。当ったら何を買う?あれかこれかと考えていたら、赤鬼の声がした。
「Kさぁん、しあわせだけが残ってまぁーす!」
オッホッホ、しあわせに囲まれて暮すの?「しあわせ」を喜ばせてやるのは経験がない。
誰か教えてくれませんか。
(入居者ペンネーム 菊池ひろし)
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