佐倉と〈里〉の四季: 2019年6月アーカイブ
アジサイは、随所に目にする珍しくはない植物ですが、やはりこの季節を代表する独特の存在感に満ち溢れ、古くから和歌、俳句の題材、日本画や切手の素材、さらには市や町の花として、日本人が昔から広く親しんできた花木です。そこで、今を盛りのアジサイの花を求め「佐倉ゆうゆうの里」の内外小範囲を歩き、出会ったアジサイの花を記録しました。
Ⅰ)先ず食堂前中庭では、青、紫、白、ピンクのアジサイが揃っています。説明板にある如く,花弁と見えるのは、正確には装飾花(萼片)ですが、植物学上は何であれ、鑑賞上は見事な花弁です。
堀田邸の正門を入った左手に二叢のアジサイがあります。少し色合いが異なりますが、両者共に、密集した小粒の花の周りを大きな装飾花が囲んでいる「ガク(額)アジサイ」という種類です。アジサイの花の色の違いは土壌の性質の違いに因ると云われています。
6月に入ると、「佐倉ゆうゆうの里」の住民が、隣接する「旧堀田邸」に向け足を運ぶ姿が急に増え始めました。この動きは堀田邸のタイサンボクが今年も順調に開花したことを示すに他なりません。堀田邸には知りうる限り4本のタイサンボクがあり、この中、正門内の3本が6月を期していたかの如く一斉に咲き出しました。
大型、純白、卵形のつぼみは早春のハクモクレンに似ていますが、それもそのはずタイサンボクはモクレン科に属する植物です。
ハクモクレンとは異なり、タイサンボクは開花すると花弁は反り返り、開き切った花冠は樹花としては最大と思われる大きさになります。そして"壮麗、前途洋々、威厳、真の輝き"などの花言葉だけでなく、香料の原料になる強い芳香を持っています。但し花弁は傷みやすく開花して3、4日で茶褐色に萎れるという反面があります。
タイサンボクの漢字表記は「泰山木」ですが、原産地は意外にも北米東南部であり、日本には明治年間に渡来したことを知りました。堀田邸のタイサンボクについて詳しくは、堀田邸管理事務所に訊ねる必要がありますが、かなりの大木であるので、庭園が造られた当初堀田侯お好みの喬木として、同じく外来種のサルスベリ共々植樹されたのではないかと推定されます。なお、堀田邸庭園奥の小門横にも4本目の立派なタイサンボクがありますが、こちらは少し開花が遅れています。
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